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2025 年 7 月 27 日

つくばに行ってきました ― 国立環境研究所公開シンポジウム

 つくばに行ってきた。国立環境研究所主催のシンポジウムを聴講するためだ。国立環境研究所は私にとって大切な友人のY君が勤めている研究機関であり、彼は就職してからずっとつくば研究学園都市に住んでいる。そのため独身時代から何度か訪問しているが、今回は久しぶり、20年ぶりほどか。一駅手前にある市役所にはかつて10年ほど仕事で伺ったが、ここで言うつくばは、つくば駅周辺の研究学園都市エリアのことだ。

 学生時代に建築を学んだ私としては、研究学園都市は造られた近代都市、初めて行った時から憧れの街であった。街の中心には駅とバスターミナル、ホテル、デパート、ショッピングモールが集まっていて、付近の住宅、公園や博物館とは緑豊かなプロムナードでつながっている。筑波大学キャンパスも近い。環境研究所をはじめ宇宙開発のJAXAなどのさまざまな研究機関が点在しており、初めて訪れた時には、未来が見える街だと、神々しささえ感じたものだ。

 そんなことで、今回は国立環境研究所公開シンポジウム「研究者ってどういう仕事?」に参加、聴講したわけだ。壇上で発表した研究者は3名で、私は海洋汚染におけるマイクロプラスチックのことに興味があったのだが、それは別途コメントすることとする。何よりも友人のY君が40年以上も生業として過ごした研究者の立場の一端を知ることにこそ興味があったのだ。

 つくば国際会議場の大ホールには、まばらではあったがそれでも300~400名の聴衆。私のような一般客もいたが、多くは自身もどこかの研究者、環境研究所の職員、OBらしき人が多いように感じた。3人の研究者がそれぞれの立場で講演し質疑応答、一人あたりの持ち時間は30分であった。発表者には卒業後すぐに環境研究所に勤めた人もいれば、いろいろな経緯で問題意識が深まり現在の職に就いている人もいた。総じていえば、そのことが好きとか嫌いとかではなく、こだわりを感じる人の発表だったというのが私の印象。Y君によれば「研究者は変わり者が多いよ」というが、他人には分からないほどのこだわりを持つ人が研究者ということだろうか。
 後半のパネルディスカッションではこの3人が「私が研究者になったわけ」と題して話をした。自身の気持ちを吐露、正直に述べていたのだが「こうあるべきと思ってこの職に就いた、今はこのことに深い興味と夢がある」などと、もう少し理路整然と語って欲しかったと思った。聴衆の中にも高校生もいたのだから、きれい事でも良いので。

 Y君は、ある意味で彼の一生をリモートセンシングという技術開発に架け、いぶきという人工衛星で宇宙から地球の温室効果ガスの発生源、吸収源を測定する世界初の偉業を成し遂げた。研究者というよりも科学者であるとは私のイメージだが、決して変わり者ではない。私の友人の中でもナンバーワンの極めて常識人だ。が、そのことにこだわった結果が世界初だったのだと改めて得心。
 いずれにしても、発表者、質問者、聴衆、運営スタッフ、会場の雰囲気をとおして、彼の過ごした国立環境研究所という職場環境の一端に触れられたこと、彼が住んでいる研究学園都市を久しぶりに歩き、食事し、駅からつくばエクスプレスを利用して帰ったことに、満足感を覚える一日だった。今日という日がもう一回始めからあったらと思い、帰宅してからある意味で放心状態。この原稿は翌朝に書いている。

代表

関根健夫( 昭和30年生 )