2025 年 5 月 2 日
バンコクに行って来ました ― 雑感
タイ、バンコクに観光旅行に行ってきた。微笑みの国とか親日感情が良いとか聞くので“まあ一度くらいは”というニュアンスである。新型コロナの騒動で海外旅行から遠ざかっていたので、いきなりヨーロッパやアメリカは行きにくい。タイは時差が2時間しかなく身体への負担が少ないことも誘因だ。
以下、バンコクの印象。
タイは近年、経済的に発展していると聞いていたが、確かにショッピングセンターのいくつかはブランドショップからスーパーマーケットまでいろいろなお店が入っていてその規模に圧倒される。観光客、地元の人々も多く活気がある。街中には高級なコンドミニアムだろうか、高層ビルの建築ラッシュ。さすがに経済的には良いのだろう。
一方、みすぼらしいボロ服をまとい、不潔感極まる裸足の老人が道ばたに座り込んで物乞いをしている姿も見受けられた。そういう下町は汚れた印象でネズミも走り回っている。発展の裏には格差があることが現実の様子だ。
日本も格差社会になってきたことが問題になるが、さすがに街中に物乞いをしている人(私が子どもの頃は乞食といったが)の姿はない。
また、観光地には物売りも多くいて、中には小学生くらいの年齢の子も。売っているものは粗悪であろうことから、ガイドからも気を付けるようにと言われた。
バンコク市内には寺院の仏塔が散在し、それが観光の目玉でもあるわけだが、多くは17~18世紀の建立で日本なら江戸時代。奈良や京都の寺院に比べれば歴史は浅い。仏塔の多くは高僧を祀っているという。構造物にはモザイクタイルがちりばめられ、中には金箔をあしらっているものもあって実にきらびやかで美しい。同じ仏教寺院でも日本とは建築様式が全く違うのがおもしろい。
さらに1~2世紀前にタイの中心都市だったアユタヤにも行ってみた。狭いエリアに寺院が200以上もあったというが、ここは歴史的にミャンマーと争いが続き、最後の戦争に負けて仏塔の多くは壊されていた。特に寺院を過去む壁に沿って並べられた石仏はその全てで頭部が破壊され持ち去られ、ヨーロッパで美術品として売り捌かれていたのだという。近年になってそれらがヨーロッパの博物館から返還されてきているとはいうが、現地は破壊されたままである。
カンボジアの有名なアンコールワットは、もっと古い時代のクメール王朝の遺跡だが、そちらの方がはるかに保存状態が良いこともアユタヤの虚無的な印象。
最後に、タイで走っている車のほとんどは日本車であった。その中でトヨタが多いのは自明、次に多い印象はホンダだったが、意外だったのはいすゞ車が結構走っていたことだ。トラック、バス、ピックアップ、SUV。つまり乗用車も走っている。
いすゞはかつて日本でも乗用車メーカーとして名を馳せていた。ヒルマン、ベレル、べレットは私が小学生のころ。117クーペは中学生の頃の憧れだった。18歳で免許を取ったときの教習車はフローリアンだった。その後もジェミニやビッグホーンなど車好きにはたまらない個性的な名車が多かった。今では日本国内はトラックとバスのみで寂しい限りだが、あのSUVは日本でも売れないものか。
なお、私がバンコクに行ったのは3月でミャンマーの大地震の10日ほど前。あの地震では震源から1000キロも離れたバンコクで建築中の高層ビルが崩れた。日本の感覚からすればあり得ない事故。どうやら中国のゼネコンの施工だったらしいが、これは事故ではなく事件だろう。月並みな印象だが海外に行くと日本の良さが感じられる。
代表
関根健夫( 昭和30年生 )